2012年11月17日

県住宅供給公社と町長説明との相違点

地域コミュニケーション紙「しお風」号外を11月15日に発行しました。今回の特集は、「住民の力を結集して『二宮らしさ』を守ろう!」です。住民自らが行動を起こすことの大切さを訴えています。

閑静な百合が丘住宅地にある峠公園に隣接する神奈川県住宅供給公社所有地が突然民間に売却。緑地として利用されてきたこの土地の今後の開発とこの土地以外にも百合が丘に公社所有地が多く存在し、住民は不安を抱えています。この対策と自然豊かで住みやすいという二宮の魅力『二宮らしさ』を守る協働のまちづくりにつながることを望んで、「しお風」号外を発行しました。




その表面の「県住宅供給公社所有地が突然に民間売却!! 」の最初に「★驚きの事実!公社は町や住民に売却前に打診」という小見出しの中で「「しお風」が、公社や百合が丘の方々に独自取材した結果、町長が議会や住民説明会で行った説明と公社の説明とは大きく食い違っていることがわかりました。(その他の点もしお風つうしんブログに掲載 )」と掲載しています。ここに大きな相違点を記載します。

★町長が議会や住民説明会で行った説明と公社の説明との大きな相違点
1 公社は町や住民に売却前に打診していた
以前から所有地の草刈りなどの管理についての打合せの中で町や自治会役員(途中から百合が丘地区長連絡協議会)に財政難から所有地売却の意向を伝え、峠公園隣接地については5月16日に百合が丘地区長連絡協議会や町に説明をしていました。公社は、この時に住民や町から何も異論がなく、百合が丘地区連絡協議会から要望があった住民周知の立て看板も設置したので、売却することに問題はないと判断したそうです。

2 公社は「住民の理解を得られた」と説明していない
町は「公社が峠公園売却について打診してきたので、『公社に住民の了解は得られているのか?』と尋ねたら、『了解は得られている』との説明があった。」とのことですが、公社に町とのやり取りについて確認したところ、「打診はしたが、町から住民の了解について問われた事実はない」とのことでした。

3 次の具体的な売却計画はない
町から説明のあった2丁目3丁目の傾斜地の売却計画については、そのような計画は存在していません。今後も売却の意向はありますが、具体的な説明はしていません。

4 入札状況は秘密事項でどこにも公表していない
峠公園の入札の経過について、当初2社から入札があった件については、「何社から入札があったかについても、いくらで落札されたかも秘密事項であり、仮に情報が漏洩していたとしたら大問題である。」としていました。
  


2012年02月01日

法を無視?ふたみ記念館  

12月3日にしお風つうしん第644号で発信しましたが、ふたみ記念館の開館に際し、県からクレームがありました。
icon06ふたみ記念館


それは建築確認申請が「集会所」なのに実態は「美術館」として開館し、入場料を徴収していたことに対してです。

ふたみ記念館用地は第一種中高層住居専用地域で、建築基準法第四十八条第2項の法解釈により、「集会所」は整備できますが、「美術館」は整備できません。ですから、建築確認申請は「集会所」として県には申請されています。

ところが、二宮町ふたみ記念館の設置及び管理に関する条例には、「本町出身の画家二見利節の作品その他関連する資料(以下「作品等」という。)を展示並びに保存するとともに、町民文化の向上と豊かな地域社会の形成に寄与することを目的として」「記念館に展示されている作品等を観覧しようとする者(以下「観覧者」という。)は、別表に定める観覧料を納付しなければならない。」と記載されています。

ふたみ記念館のちらしやポスターには「NINOMIYAMACHI FUTAMI MUSEUM」と掲載されています。


また、神奈川新聞に「同町初の美術館」と報道されています。

二宮町は、「建築終了後に寄贈を受けたので、『集会所』として申請したのは寄贈者で、その依頼を受けた設計者が手続きを行ったから責任はない」と考えているようです。「集会所」として建築確認申請していたのを知らなかったと申し開きしています。

しかし、二宮町が知らなかったというはずはありません。知っていたならば、悪質な虚偽行為であり、知らなかったと言い続けても、過失行為の責任はあります。行政が行う行為は法を遵守して行われなくてはならないのに、その行政自体が法を無視してはいけません。

<知らなかった言えない理由>
①二見利節記念館構想は町からの提案
寄贈者は二見重雄さんの遺族で、「町の役に立ててほしい」と土地の提供があったのを町が重雄さんの同級生であった二見利節の作品展示と保管をして、後世に伝えたいと提案し、寄贈者は建物も作って寄贈することにしたものです。


②寄附前に調査したはず
二宮町寄附取扱要項で、寄付申請があった場合は、事前に調査し、町長の決済後、正式に受領することになっています。その調査は10項目にわたり、その中には「法令等に違反しないか」が入っています。普通建物を建設する場合、用途地域に適合するかどうか調べると思います。もちろん、寄付行為でもそれは最初に調べるはずです。特に、今回は町から提案しているのですから。

③議会でも「美術館ではない」と答弁
平成22年3月の議会答弁で坂本町長は「美術館ではない」「美術館というイメージのものを我々は予算的につくれない」と答弁しています。それを受けた総務部長も「美術館ではなく、だれでも気軽に立ち寄れる二見利節画伯の絵の展示を中心とした記念館的なものということ」と答弁しています。

④開館前に窓をベニヤ板でふさぎ、消防が立ち入り検査で改善指導
ふたみ記念館の展示ルームにはところどころ大きな布の壁掛けがかかり、その上に作品が展示されています。これは大きな壁掛けの後ろが大きな窓(それも出窓)だからです。

開館前にはこの窓が出窓なので、そこにベニヤ板でふたをし、壁と同じ壁紙を貼って、そこに作品を展示していたのを開館前日に消防の立ち入り検査があり、防火上、窓をふさいではいけないということでベニヤ板をはがし、急遽策で大きな布の壁掛けをかけたようです。布の裏をのぞくと無残にはがされた痕跡が残っています。

たぶん県の完了検査後に窓をふさいだのではないでしょうか。それとふさいでしまったのは、町長が「窓があると作品があまり飾れない」と言ったことからのようだとも伝え聞きしました。

対応としては、『美術館』として申請し直し、その建築審査会で認可されるまでは、無料で拝観することになっています。しかし、これにも大きな問題があります。

①法令無視のままの条例施行、放置
建築基準法を無視したまま、条例はそのまま放置されています。町は条例をそのまま放置しても問題なしと考えているようです。

②美術館としての許可は困難
議会で答弁しているように、「美術館」として運営するには予算がかかると思われるし、実際の許可にも建築審査会で審議するにはだいぶ時間がかかりますし、美術館として許可されるには、さらに施設の手直しが必要だと思います。現ふたみ記念館では平塚市の美術館で収蔵している作品を貸し出しすることができないと言っている施設が美術館だと簡単に許可されるか疑問です。

建築基準法第48条第2項の但し書きに「良好な住居の環境を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めた場合に限られます。手続き的には、建築基準法第48条第14項に県は「その許可に利害関係を有する者の出頭を求めて公開による意見の聴取を行い、かつ、建築審査会の同意を得なければならない。」第15項に県は「意見の聴取を行う場合においては、その許可しようとする建築物の建築の計画並びに意見の聴取の期日及び場所を期日の三日前までに公告しなければならない。」となっています。

③赤字補てんで財政影響
そもそも、ふたみ記念館を開館させるにあたって、平成22年度3月議会で「『ふたみ記念館』の黒字化なんていうこともあえて言っているわけで、赤字が生まれるもとを増やしていくつもりはさらさらありません。」と答弁していますが、半年以上も拝観料をとらず、3人の人件費や光熱費はかかっていきます。さらに美術館として開館するには費用がかかります。

開館当初でも日に10人程度の来場者数だそうです。近くには山西小学校や西中学校がありますし、開館直後から教育や文化的プログラムは動いていないのでしょうか。

④寄贈者等の善意をふみにじるもの
土地、建物を寄贈してくださった二見重雄さんの遺族、そして作品を寄贈してくださった二見利節さんの遺族の善意、開館に当たって様々な協力をしてくださった二見利節さんのお弟子さんたちの善意をふみにじっています。

私も二見利節さんの作品やその生きざまは後世に伝えたいと地域コミュニケーション紙「しお風」でも作品や人物紹介をしてきました。今回の不始末は二見利節さんに泥を塗る様なものではないでしょうか。私がふたみ記念館を訪れた時、二見利節さんの写真が入った額が突然カウンターから落ちました。それが、私に「どうにかしてほしい」と伝えているように思いました。


この不始末の原因や責任の所在はどこにあるのでしょうか。

その一端は町や町長にあると思います。
将来の運営計画も不明確なまま、寄附を受け、開館してしまった計画性のなさ、議会できちんとした審議のなさ。
開館前のずさんな対応、県からのクレーム後の対応の悪さ。町は真摯に受け止めてほしいです。

二宮町議会の委員会や本会議で、必要性、将来計画や運営方法、採算性をきちんと審議せずに、条例制定や予算決定をしてしまっています。法的に審議の場ではなく、あくまで議長が行政に要請して、報告を求める場に過ぎない二宮町議会の「全員協議会」に行政から報告して済まそうとすることが多いです。

神保順子議員の本会議での質問に対し、坂本町長は「心が貧しい」「波長が違うから話をしていてもだめなんです。」「町民の意見を聞けって、あなた方の知り合いすべてが町民ではないのです。町民はいっぱいいるのです。それをワイドで物を見て判断をするというのを、こっちがやっているわけですから。」ときちんと答弁していません。これは議会制民主主義を理解していない発言のように思います。

また、答弁の中で、平塚美術館長が作ろうとしているふたみ記念館は美術館ではないと言われたが、その後寄贈者だけが会った美術館の学芸員が大丈夫だと言っていると伝聞で聞いて、二宮は二宮方式で行くことに方向転換をし、普通の建物でよいとしたと発言していますが、伝聞でそんな大きな考え方を決めてよいのでしょうか。なお、その学芸員さんは私に「坂本町長に『二見利節の美術館を建てることはやめた方がよい』と助言したのに聞き入れてくれない」とこぼしていたことがありました。


こんなトホホな町を健全にするためには、住民自治を進める議会改革が必要です。

今、二宮町議会では議会基本条例が検討中です。
私たち町民の意思の代行者である合議組織「町議会」。
町民の立場にたった「議会」本来のお仕事をこなす「町議会」になるように、「議会」の基本ルールや仕組みを一緒に考えましょう。

勉強会が次のとおり開催されます。ぜひ、ご参加ください。

勉強会「議会基本条例案の問題点を探る」
2月6日(月) 9:30~12:00
ASA二宮2階会議室